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2007年2月

無限の彼方で 9 結局のところ

<9 結局のところ>

おにーる氏は私にとって、「不思議の国のアリス」の時計ウサギであった。
対人という未知の世界にいざない、すぐに姿を消した。
時計ウサギをなぜ追わなければならないかがわからないまま、ウサギを追うアリスに様々な不思議なことがふりかかる。
時計ウサギもまた、存在をアピールするかのように、いくつかの手がかりを残しながら、しかし姿を見せることなくすり抜けていく。

まさにその過程を見るようであった。
結末が違うとすれば、私の世界の時計ウサギは最後にアリスに一瞬だけ再会し、別の世界に行くと言って別れを告げるというところであろうか。
そして、アリスは元の世界にもどらずに、不思議の国に滞在し続けることを選択するところと。

おにーる氏は今度は、瑞穂での名と、いそうな場所を手がかりとして置いていった。
いつかまた迷うことがあったら、訪ねてみよう。
彼にあっても答えは見つからないかもしれないが、探す過程で起こるさまざまなことが、きっとまたヒントや出会いをくれるに違いない。

人と人とのつながりは、かくも不思議なものなのだ・・・。
しるびあは無限の彼方で一人、物思いにふけった。

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無限の彼方で 8 再会

<8 再会>

ある日、おにーる氏が無限を撤退して瑞穂にいくという手紙が、新聞社に届いた。
会えなかった。
やはり会いたくなかったんだろうか。
ひょっとしたら、私に会うのがいやでMRRのIRCにこなかったんだろうか。
だとしたら、おにーる氏にもMRRの人たちにも大変申し訳ないことをした。
私は無限にくるべきでなかった。

半分パニックになったしるびあを、やはりちぇりーさんはなぐさめた。

そして、もうあきらめた、と出雲の日記に書いた翌日。
おにーる氏はやってきたのだ。
しるびあはプラベで話をしてもらうことにした。

おにーる氏は、まず突然ギルドを私に任せて撤退したことについて、私に詫びた。
でもそれは私は責めるつもりはなかった。
おにーる氏がいなければ、SG-1はなかった。
私は対人をやっておらず、あの仲間たちにも会えなかったのだから。
彼は私やSG-1のことを覚えていた。全部ではないが他のメンバーも覚えていた。
自分が作ったギルドだから。と彼は言った。
3:BのHPも、海外赴任の赴任先からも時々のぞいていたと言った。

聞きたかったことはたくさんあったが、いざ会うとどっかにとんでしまった。
「なぜAzの模擬のとき、名乗らなかったの?」
しるびあは一番気になっていたことを尋ねた。
「3:Bがギルドとして機能していることがわかった。いまさら自分の出る幕はないと思ったから」と彼は答えた。

戦闘してくれと頼んだら、もうすでに出雲でPIT戦をあなたとしているという。
おにーる氏はわかっていたかもしれないが、私は知らずにやっていたので、何も覚えていない。しかし、無限での対戦は、回線の不安定を理由にやんわりと断られた形になったが。

おにーる氏は、実は周辺にいたのだ。
周辺にいて・・・自分の後継ギルドの行く末も気にしていたのだ。
捨てていったわけではなかった・・・

なんだかそれがわかっただけで、あとのことはどうでもよくなった。
おにーる氏が無限でどんな人でも、強くても弱くても、知る必要はない。
おにーる氏はあの時、出雲でああいう人だった。
その印象だけで彼を見るのが、RPerに対する礼儀というものである。

何かがふっきれた気がした。

このまま無限で、私は私のしたいことをしよう。
おにーる氏は、無限ではおにーる氏ではないのだ。

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無限の彼方で 7 ギルドMRR

<7 ギルドMRR>

おにーる氏はしかし、MRRのIRCになかなか現れなかった。
しるびあはそれでも、毎日常駐していた。
よその対人ギルドのIRCである。
始めのうちは、邪魔にならないようにすみっこでROMだけしているつもりだった。
しかし、毎日顔を出しているうちに、話しかけてもらえるようになり、なるとも配ってもらえるようになってきた。

待っている間にいろんなことを考えた。
たくさんの人に聞かれた。会ってどうするのかと。
自分にも問いかけた。どうしたいんだろうと。

おにーる氏は私に基礎を口頭で教えただけだった。
彼と戦闘したことはなく、戦闘しているところも見たことはなかった。
ある意味、彼が強くても弱くてもかまわないが、一度対戦してみたくなった。
自分の無限のキャラはスキルが低く、まともに戦えるようなものではなかったが、詠唱戦くらいであれば、させてもらってもいいかもと思った。
自分を対人界に招き入れた人が、どんな人だったのかを知りたかった。

おにーる氏に会ったら、頼んでみよう。
私と戦ってくれと。そして私は終止符を打つかどうかを決める。
無限はおにーる氏の世界。
彼が望まないのであれば、無限を撤退しようと。
おにーる氏に会えば、無限にいる意味の半分以上は終わるとそのときは思っていた。

おにーる氏を待って半月が過ぎるころ、しるびあは疑い始めた。
はんぞー記者にはああいったものの、やはり会いたくなかったのではないか・・
落ち込んでIRCでそう嘆くと、MRRのちぇりーさんという人が慰めてくれた。
「だいじょうぶ^^」
彼女にそういわれると、なんとなく大丈夫な気がした。
よその対人ギルドのIRCで、知らない人ばかりの中で、不安や緊張もあったことは否定できない。しかし、ちぇりーさんはあくまで優しかった。
MRRのIRCがだんだん居心地がよくなり、このままおにーる氏に会えなくても、ちぇりーさんと一緒に、ここで派閥をしてもいいかもしれないと思えてきた。

Grtzの人たちとも出かけられるスキルになってきたので、PSCなどに混ぜてもらうようになり、だんだんと自分の中に、彼らに対する仲間意識が芽生え、無限から離れがたい思いがしてきていた。

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無限の彼方で 6 無限新聞の捜査

<6 無限新聞の捜査>

しかし、ほどなくしてサンタはUOを引退するとブログで告げた。
さらにしばらくして、ブログは閉鎖され、アクセスできなくなった。
出雲のAzのサンタもその少し前に来なくなっていた。

・・・手がかりは途絶えた。

GrtzのIRCで、ダメもとで尋ねてみると、げんさんが無限新聞で聞いてみるといいと教えてくれた。

無限新聞のIRCに行って、記者のはんぞーさんという人に聞いてみた。
はんぞーさんはとても難しそうだが調べてみようといってくれた。

数日後、出雲でSG-1時代からの仲間に、無限新聞に捜索願を出したと話した。
彼は、「おにーる氏には会わない方がいい。どうせもうしるびあのことは忘れている。
いまさら会ってどうするというのだ。忘れていなかったとしても、おにーる氏だって、きっと会っても困るだけだ。それに、我々のGMはもう彼ではなく、あなたなのだ」
しるびあは、そこまで考えていなかった。
おにーる氏が私に会いたくないと思っている可能性を。
確かに出雲に帰ってこないのだから、それは十分考えられることだった。
2年も前に別れた人が、時空を超えて自宅周辺をうろつくなんてまるでストーカーだ。

捜索願を取り消そう。
それから数日間無限新聞のIRCに日参し、はんぞー記者が出社するのをまっていた。

しかし、しるびあはんぞー氏に会う前に、その記事はネットに公開されてしまった。
http://blogs.yahoo.co.jp/uomugen2006/26831122.html

おにーる氏がみつかった。捜索願の取り消しは間に合わなかった。
記事を読んで、しるびあは愕然とした。
あのルナのサンタが。
あのAzのサンタが。
おにーる氏だったのだ・・・
そして、おにーる氏は知っていたのだ。
あのAzとの模擬の日、既に私に気づいていたのだ。
忘れていなかったのだ。
だから「知人がSG-1を・・・」という手がかりを落としていった。

記事では、おにーる氏は私に会ってもいいといっているとのことだった。
しるびあは、彼が所属しているという派閥ギルドMRR(はんぞー氏もそこの人であった)のIRCに常駐を許され、毎日顔を出すことになった。

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無限の彼方で 5 無限感謝祭とGrtz

<5 無限感謝祭とGrtz>

やはり無限におにーる氏はいるのかもしれない。
探しに行ってみようか・・・見つかるわけはないけれど・・・。
無限のことは、ちょっと頭から離れていたが、再度のぞいてみようと思った。
ルナでレスキルされたキャラはいい加減なキャラだったので、新しくLisaというテイマーキャラを作った。

しかし、テイム修行1日目にして、またしてもトリゲートでPKに襲われる。
なぜか何もとられなかったが、とりあえず町まで戻ろうととぼとぼと歩き始めた。
と、とある家の中に見たことのある名前が見えた。
初日にルナであった、ぺしゃんこさんであった。
ぺしゃんこさんのお店がたまたまトリにあったのだ。
私の名前はあのときと違っているので自己紹介して、思い出してもらう。
ルナにいたサンタのことを尋ねるが、詳しくはわからないという話だった。

翌日、デルシアの牛をテイムしていると、赤い名前が通りかかった。
姿もみず、攻撃もうけなかったが、さすがにこれまで連続でPKに遭っているので、すっかり足がすくむ。
テイムする気が失せ、とぼとぼとデルシア銀までくると、そこにおやかたさんというテイマーさんが立っていた。
わらをもつかむ気持ちで、どこか安全なテイム修行場を知らないか、尋ねた。
この人が親切な人じゃなかったら、無限からはもう撤退しようとさえ思っていた。
でも、おやかたさんは親切に、とっておきの修行場を教えてくれ、私の頼みに応じてレッサーヒリュウもテイムしてきてくれた。そして、GrtzというギルドのIRCに誘ってくれたのだった。

Grtzは新人を支援するギルドということで、10人を超える人がログインしていた。
GMのげんさんや、住居にフレンドしてくれたさゆりさんはじめ、親切な人がたくさんいるところで、無限にもこんなに暖かいところがあるのかとほっとした。
雪の日に路頭に迷ってたどりついた庵で、あたたかい甘酒をふるまわれたような、そんな心地だった。
IRCにはすでにLISAさんという、無限では有名な?掘師がいたので、私は「りさ」ではなく「小りさ」と呼ばれるようになった。

数日後、Grtzのみんなといっしょに、無限感謝祭にいった。
赤も青もみんなTのスカラに集まって、にぎわっていた。
そこの店で、PKによって売られていたPK回避券なるものに少なからず惹かれ、ふらふらと近寄ると、あまり遠くないところにみたことのある姿が目に入った。
あのサンタであった。
あわてんぼうのサンタクロースの替え歌を歌っていた。
あいさつすると、また不思議そうな顔をされる。名前が違っているのを思い出し、自己紹介する。おにーる氏のことを尋ねようかと思ったが、見物人や知り合いらしき人がたくさん彼に話しかけているので、また今度でいいやと思い立ち去った。
出雲のAzにもいることだし、また聞く機会もあるだろう。と。

その日のサンタのブログには、無限感謝祭のことが書いてあり、「出雲のあの子もきていた」と書かれていた。

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無限の彼方で 4 出雲での再会

<4 出雲での再会>

その頃、出雲にAzという対人ギルドが他サバから移転してきた。
Azは初心者育成をうたい、BBSにメン募をしていた。
模擬相手も募集という文言を見て、3:Bと模擬をしてくれるよう申し込んだ。
話はまとまり、めでたくAzと模擬をすることになった。
無限をのぞいてから何日もたってからのことである。
 

Azとの模擬でウインドの蟻通路に行った。
しるびあはそのとき、Azにサンタの格好をした人がいるのにきづいた。
あの無限のルナにいたサンタと同じ格好であった。
こういう人って多いのかしら、と思った。
その時である。サンタは歌を歌いだした。
あわてんぼうのサンタクロースの替え歌。同じ歌だった。驚いた。

「ルナにいたサンタさんなの?」と話しかけた。
不思議そうにしているその人に、ルナであったときの名前と状況を告げた。
「ああ、ぺしゃんこくんと一緒にいた人か」
名前は忘れていたが、状況は覚えていたようであった。
サンタは自分はブログを書いているといい、無限BBSからリンクでとべると告げた。
そしてこうもいったのだ。

「自分の知り合いが、以前出雲に初心者の対人ギルドをたてた。たしかSG-1という名前の」と。
衝撃だった。おにーる氏を知っている人がいた。
確かに無限民なのだから、知っていても不思議はなかった。
いま、おにーる氏は無限にいるの?いるなら会ってみたい・・しるびあがそう告げると、
サンタは「しばらくはNAPAにいたようだが、無限に戻ったりもしていた。今はどこにいるかわからない」と言った。
模擬が始まり、会話が途絶えた。
サンタがまさかおにーる氏本人だなんて、思いもしなかった。

今にして思えば、サンタ=おにーる氏は私とタグを見て、わかっていたのだろう。私が自分の後継者だということを。知っていて・・・言ったのだ。

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無限の彼方で 3 無限での再会

<3 無限での再会>

無限にログインして数分後、いきなりルナ城内でPKに遭う。こちらは初期キャラである。あっというまに、灰色の世界。
さすが無限。思いがけないとこで襲われるものだ・・・。
ためいきをつきながら近くにいた野良ヒーラーで一旦生き返って、一応回収してみる。
あれ、からっぽ?あんなしょーもないもの、もってくの・・・?
・・・呆然としていたら、もう一度矢がとんでくる。一瞬で灰色の世界。
なんなのよ。
もう一度生き返る・・・直後再度の矢。灰色の世界。
いくらとろいしるびあでも、ヒーラーはそのステハイ忍者弓のPKが引いてきたものだったらしいと気づく。
3回のレスキルの憂き目に遭って、さすがにため息がでる。
4度目生き返った直後に「いいかげんにしなさいよ!」と発言してみる。
・・・矢はとんでこなかった。一応通じたのだろうか。

だが、幽霊ローブ1枚以外、何も残っていない。
お金も銀行の1Kのみ。
銀行で途方にくれていると、話しかけてきた人がいた。
ぺしゃんこという名のその人は、私の不幸を慰め、無限ではよくあることだと教えた。
しばらく後に、銀行にサンタのコスプレの人が入ってきた。
ぺしゃんこさんの知り合いらしく、歓談している。
そのサンタもまた、洗礼をうけましたな、と言って私をなぐさめ、歌を歌った。
あわてんぼうのサンタクロースの替え歌だった。

私はしるびあという名ではなかった。
SG-1の話もしなかった。
サンタもまた、みたことのない名がついていた。
ぺしゃんこさんサンタは、もうすぐ無限の感謝祭が開かれるという話を私にし、私は来れたらくると返事をし、そのままルナ銀で別れた。

そのサンタがまさか、おにーる氏だったとは。
その無限にきたばかりの初期キャラが、しるびあだったとは。
お互い気づくよしもなかった。

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無限の彼方で 2 ギルド3:B

<2 ギルド3:B>

ギルドの出来立てのころ、連絡が取れない人もいたため、IRCのチャンネル名を変えずに、そのまま#[SG-1]にしてあった。
当初しるびあの思惑には、「海外出張から戻ったら、おにーる氏が来るかもしれない。
そうしたらGM代わってもらえばいいや。」というものがあった。

しかし、おにーる氏は帰ってこなかった。
ギルメンの中には「案外そのへんにいるかもよ」と言う者もいた。
しるびあは「いや、おにーる氏は帰ってくればきっと声をかけるはず」と思い・・・
思い込んでいた。

1年半が過ぎた。

しるびあはあまり対人がうまくならず、相変わらず逃げ回ってばかりいたものの、3:Bの仲間と一緒にいるのが大好きだった。
SG-1時代の仲間もまだ何人も残っていてくれた。
PITに顔を出したり、模擬をしたり、仮想をやったり・・・なにか活動するたびに対人の仲間は増えていった。
さすがに慣れもでてきて、PKの知り合いができたり、仲間内からPKになる者が現れたりすることで、次第にPKというものへの抵抗はなくなっていった。
もちろん知り合いだろうがかつての仲間だろうが、PKに圏外で遭えば襲われるが、しるびあはPKした相手をうらむということがほとんどなかった。
自分が弱いから負ける。
ゲームなのだから、オセロや五目並べと同じで、相手がずるやルール違反をしていない限り、勝ち負けで相手をうらんだりするのは間違っている。
死にたくなければPスキルをみがきなさい、めらー時代、大先輩にそう教えられて育ったから。

基本的に活動がFのため、Fへの抵抗もなくなっていった。
最大ストレージの家がFで手に入ることになったとき、初めてFに住むことを決意し、それ以来Fで生活している。

おにーる氏は帰ってこなかった。
さすがに、もうギルドを渡すとか不可能だったが、帰ってくれば聞いてみたいことはあった。

しるびあは根がめらーだからなのか、対人してるとものすごく落ち込むことがある。
なにか深いところで、落ち込み、逃げ出したくなるときがあるのだった。

ある落ち込み期間に、ふと思い立った。
「無限」てどんなとこなんだろう。
仲間内ではあまり無限にいる人はいないようだが、ちょっと覗いてみようかな。
知らない人ばかりのところに行ったら、自分がどんな反応をするのか、
何一つ持ってない状態からサバイバルするのはどんな感じなのか、
興味もあった。
それに、おにーる氏が帰っているとしたら、古巣の無限なのではないか。
もしかしたら赤おにーる氏に会えるかもしれない。
ま、いたとしても名前もわからないし、意味ないだろうけどね・・・

キャラをいいかげんに作って無限にログインしてみた。

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無限の彼方で プロローグ~1 ギルドSG-1

これは、しるびあが無限におにーる氏をさがしにいく話です。
SG-1、3:Bの関係者、無限の友人たち以外の人が読んでも意味不明かもしれないです・・・。
長いんで、てきとーに斜め読んでください。

<プロローグ>

2年前。UOを始めて1年半くらいであっただろうか。
出雲に住むしるびあは真性のめらーだった。
フェルッカにいくのは、売り物の補充のためくらいだった。
それでもたまに行くたびにPKやシーフの被害に遭うありさまで、
Fに行ったら死を覚悟、とばかり、わざわざ死に装備に着替え、
息を止めてリコってたものである。

しるびあは対人が嫌いだった。
そんなものやる人の気が知れないと思っていた。

しるびあはフェルッカが嫌いだった。
住人の8割はPKで、残りはPKKだと思っていた。
わざわざFに住む人の気が知れないと思っていた。

今、しるびあは、Fに住み、対人のまねごとをやっている。
非戦闘時ならPKの友と歓談もし、PKKの友とT2Aをうろつく。
そうなるにはいくつかのターニングポイントがあった。

 

<1 ギルドSG-1>

しるびあは、PKが嫌いだった。
姿を見かけるとリアル本体がフリーズした。
立ち尽くしたまま殺されたことも数知れなかった。
Tの友人は言った。「逃げればいいんだよ」
でも上手に逃げるのは苦手だった。

対人初心者の育成ギルド、SG-1の募集広告がBBSに載ったとき、
ここの人に逃げ方や護身術を教えてもらったら、死なずに帰れるのではないかと思った。
IRCを訪れ、入隊動機を話す。
対人ギルドに入隊するのに、「対人は嫌い。戦い方は教えてくれなくてもいいから、身の守り方を教えてください」と言うヤツも珍しい。
しかしGMのおにーる氏は、戦闘意欲の低いこのめらーの入隊を許した。
理由は後で聞いたところによると、「ムードメーカーも必要だ」と思ったからだそうだ。
つまり・・・しるびあが入隊を許されたのは、SG-1をまったりさせるためであった。

おにーる氏は無限から来たと言っていた。
無限では現役のPKだと言っていた。
出雲ではまだキャラが未完成という理由で、戦闘をせず、口頭で対人の基礎を教えてくれていた。彼に関するほとんどのことは謎のままだった。
謎はきっとそのうち解けると、そのことは気にも留めなかった。

しかし設立1ヵ月後、おにーる氏は海外出張を理由に、SG-1を突然解散させた。
しるびあともう1人以外のギルメン8人は、実は対人の経験者で、他の対人ギルドに移行することも十分可能なレベルであった。しかし、兄たちは末っ子の妹しるびあがあまりにも初心者の上に戦闘意欲が薄いという救いがたい状況なので、これをおいていくのは不憫だと思ったのだろう。

「とりあえず」「サポートはするから」・・・
何も知らないしるびあを、仲間たちはGMに据え、ギルド3年B組が設立された。
2年前の4月半ばのことである。

おにーる氏はIRCを去り・・・しるびあの前からいなくなった。

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